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「どうしたらうまくいく?集団指導Q&A」の記事をご紹介します。

Q.

保育園で年中児のクラスを担当しています。
軽度発達障害のあるお子さんがいるのですが、集団での遊びに参加できず、いつも一人遊びになってしまいます。
一人でいるのが好きなのかな…
と見守っていますが、集団遊びに誘う良い方法はないでしょうか。

A.

いつも一人で遊んでいると、一人でいるのが好きなのかなと思われがちですが、実は集団での遊び方が分からない、という事が多くあります。

お友達とみんなで遊ぶ場面でも、「何をするのか」「どう楽しむのか」ということが分かりにくく、
いつの間にか集団の輪から外れてしまうということがあるのかもしれません。

発達障害があると遊び方も自然に身についていかないので、一つ一つ教えてゆく必要があります。

ころろ子ども探検隊では、2歳から6歳の子どもたちが一緒に活動をしており、その中で発達障害のあるお子さんと統合保育をしています。

そこでは集団遊びの仕方もスモールステップで教えていますので、いくつかの方法をご紹介しましょう。


見て分かりやすい集団遊びを選ぶ

見てわかりやすい集団遊びとは、みんなが同じ動きをするもの、または鬼が一人で他の子どもたちは同じ動きをするもので、
かごめかごめ、だるまさんが転んだ、イス取りゲーム、大縄跳びなどが挙げられます。

これらは保育の中で、初めて集団遊びをするときに取り組みやすい遊びと言えます。

これらの遊びをするときには、はじめに、すでにその遊びの経験があり、やり方を知っているお子さんにモデルを示してもらいます。

はじめのうちはサブのスタッフが手をつないだり、近くで一緒に参加したり、必要なところは介助しつつ、集団参加できるように促します。

みんなと一緒にひとつの遊びをする、ということができたら、次のステップへ進みます。


分かりにくい集団遊びは、スモールステップで

氷オニ、ドロケイなどの鬼ごっこ遊びは、みんながいろいろな方向に散り散りに動くので、先に紹介したものより、見て分かりにくい遊びであると言えます。

だからと言って、鬼ごっこ遊びができないということではありません。

「見てわかりやすい」鬼ごっこになるように、参加しやすくなる工夫を加えます。

たとえば、オニは帽子を被り、タッチしてオニが代わった時には帽子を渡す。

これでオニが誰だかわからない、ということが無くなります。

大きな木や花壇の周りを、決まった方向で逃げる、というルールを加えると、「どこを走るかわからない」ということを解消できます(図1)。

    図1 見て分かりやすいルールを取り入れる


しっぽ取りゲームのように、「しっぽがなくなったら終わり」とすることで、分かりやすくなることもあります。

何から逃げるのか、というところにストーリー性を持たせて遊びの導入をすることもあります。

「おばけ(オニ)に捕まると、おばけの世界に連れていかれちゃうから、捕まらないように逃げようね」などの声掛けをし、
鬼ごっこにストーリー性をもたせることで、逃げるということを分かりやすく感じるお子さんもいるかもしれません。

このような環境設定や遊びの導入をし、サブのスタッフが補助をしつつ集団遊びへ参加するパターンを作っていきます。


いつでもみんなの「真ん中」に

探検隊では、集団活動が難しいお子さんに対し、普段の自由遊び中から、なるべく集団の真ん中で遊べるように誘導しています(図2)。

 図2 集団活動が難しい子はみんなの「真ん中」に


一人遊びをする時にもまわりにお友達がいる状態を作り、集団から離れた場所で一人で過ごすということがないようにアプローチをしています。

そこから集団遊びへ誘うときには、タイミングを狙い、言葉かけをしなくても見ればわかるような工夫をします。

例えば、子どもたちがザワザワと集まるよりも、列に並んだり、子ども同士手をつないで大きな円を作ったりすることで、視覚的に、集団がわかりやすくなります。

椅子などを使って列をきれいに整えることも有効です。

集団参加させたいお子さんの両隣は、静かな子に座ってもらい、良いモデルとなってもらいます。

隣に動きの多い子が座ってしまうと、その動きにつられて動いたり、接触を嫌がって飛び出してしまう事もあるので注意が必要です。

このように、普段の保育場面から、「いつの間にかみんなと一緒に集団の中で過ごせた」という経験を積んでゆきます。


集団参加が難しいお子さんは、初めから集団に入れるように、集団の形を1~2日工夫してあげることで、集団行動のパターンができ、自ら集団に入ることができるようになります。

いずれ、お友達に興味がわいてきたら参加できるようになるだろう・・・と待っているうちに、集団から逸脱するパターンがついてしまう事があります。

みんなが一緒に取り組める工夫をしながら、なるべく早期に集団参加のよいパターンを作っていくことが大切です。





集団行動への不適応や不登校へのアプローチについてなどをご説明している講演会を、アーカイブ配信しています。
詳しくはこちらをご覧ください。






コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

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