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主に自閉症のお子さんに向けた会話へ向けた学習プログラムを詳細に説明した書籍です。
コロロの現役スタッフも頻繁に目を通し、お子さん個々に合わせた学習プログラムを決定しています。

お母さんの実践報告 ―会話を教える(国分寺教室 会員さま)-

長男Tが中学1年生のころの会話です。

子「お母さん、ご飯を作ってください」

母「今忙しいから7時まで待ってください」

子「はい、わかりました」

7時になって・・・

子「お母さん7時になりました。ご飯を作ってください」

母「はい、では作りますので手伝ってください」

子「はい、わかりました」

このやりとりは、机上で書かせたり、繰り返し言わせてバターニングしたわけではないのですが、2人の会話が成立した瞬間でした。


わが子は初めから会話ができたわけではありません。

やっと単語を発するところから、それらしく会話ができるようになるまでの過程を振り返ってみたいと思います。


小学校に入学する前から、ひらがな・カタカナビデオを見たり、遊びの中で公文カードの聞き取りや命名をしていましたので、
「これは?」の促しに、単語を発していましたが、生活場面ではほとんど話すことはありませんでした。

親がことばを真似させることで「アイスちょうだい」とようやく発する程度で、受け答えができるレベルではありませんでした。

やりとりパターンの練習

コロロに入会したのが小学1年生の4月でした。

ひらがな模写から書字学習へと進み、50音表をつぶすように書字学習をし、濁音や半音を含めた読み書きができるようになったのが11月頃でした。

そのころ、コロロのMT調産 Moth;erTearcherになるための月1回の勉強会)で、「やりとりパターン」の練習方法を教えていただいたので早速取り組み始めました。

「なまえは?」→「〇〇」

「りんごは(なにいろ)」→「あか」

「いぬは(なんてなくの)」→「わんわん」

エコラリアの強い子でしたので、耳に入るや否や、ことばを繰り返してしまいます。

反射的に出てきてしまうことばを止めて、言うべきことばを理解させようと、必死に言い聞かせても成果が出ません。

そこで、手掛りとして文字カードを活用しました。



まずはカードマッチングをバターニングし、私が質問したあと、Tが言うべき台詞を示して読ませました。

耳からの刺激だけでは全く考える目つきになってくれなかったのに、目の前にカードがあることで、
明らかに「ぼくはなんて言えばいいのか?」と考えているようでした。

答えをいくつか置いておき、問いに答えさせました。

カードが無くても答えられるというステップを踏んで、聞いて答えるというやりとりの形を理解させました。

やりとり学習の取っ掛かりは、こんなにも簡単な受け答えでしたが、生活の中で使えるやりとりを覚えてほしくて、
次のようなやりとりバターンを練習しました。

父親とお風呂に入るときの会話です。

父「今日は、だれとおふろにはいりますか」

子「おとうさんとはいります」

父「パジャマをもってきなさい」

子「はい、パジャマ、シャツ、パンツをもってきます」

父「さむいから、ゆっくりはいろうね」

子「はい、バスクリンをいれて、ゆっくりはいりましょう」

始めはなかなかうまくいきませんでしたが、何度も書かせたり、お風呂に入るときに台詞を読ませることで丸暗記をさせました。

雛形となるこのやりとりを覚えたおかげで、今では季節ごとのレパートリーも増え、その時々の多少のアレンジも利くようになりました。

小学1、2年のころは、コロロの学習(物の用途の説明文を書く、場所の目的を説明する、職業名と仕事の説明文を書く、判断学習など)をこなすことで手一杯だったことを覚えています。

知っていることばが増えることで、生活の中でも単語を発するようになりましたが、それと同時に独り言やエコラリアが増え、耳につくようになりました。

考えずにしゃべってしまうわが子を見て、会話のキャッチボールにはほど遠いと思ったものです。

この後、
・嫌いですか?好きですか?
・欲しいものは何ですか?
・場面を作って実践する
のように、実践報告が続きます。
最後は、以下のように締められます。


コロロ国分寺教室から最寄りの西国分寺駅までの徒歩15分の道のりは、やりとり学習をするのにうってつけの時間でした。

これまで相手とあいさつができ、相手のことばをきちんと聞くことができる大人になることを目標に取り組んできました。

現在Tは23歳になり、作業所で働いています。

困った行動もなく、穏やかに日々の生活を送ることができています。

それは、卒業してからも変わらずに、家の手伝い、学習、行動トレーニング、歩行トレーニングなど、コロロで学んだ家庭療法を、今も継続しているからだと思っています。


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『自閉症児のためのことばの教室 新発語プログラム② 発語してから会話・概念獲得への32~60のステップ』



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