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発達プログラム155号「感情コントロールと問題行動対応法より
③食器が当たる音がすると、泣いてパニックになってしまいます

前回に続き問題行動にどう対応するか、実例をもとにした記事をご紹介します。
今回はパニックについてです。
決まったシチュエーションで毎回パニックになってしまったケースに、コロロスタッフが答えます。



Q.年長の息子(R)は自閉症です。

文章の読み書きや計算も得意な息子ですが、パニックや癇癪をよく起こすので困っています



最近は、家で兄弟が茶碗を割ってしまったことをきっかけに、食事中に茶碗が他の食器に当たる音を聞いただけで、

泣き叫びひっくり返ってしまいます。

泣き始めると収まるまでに30分ほどかかるので困っています。

収まってから「お茶碗の音が鳴った時に泣いていいの?」と訊ねると「お茶碗鳴っても泣いちゃダメ」と本人も分かっているようですが、

いざその場面になるとパニックを抑えられません。

どう対処したらよいのでしょうか。


A.Rくんのように、一度何かがきっかけでパニックが起こると、同じ場所・同じ相手など特定の条件下で

パニックを起こしてしまうことがしばしばあります。

「嫌だからパニックになる」「悲しくて泣いている」のではなく、「お茶碗が当たる音を聞くと大泣きパニックになる」という反応パターンが、

条件反射になってしまっているのです。

梅干しを見ると唾液が出るのと同じようなものです。

これは繰り返すほどに強化されてしまい、さらに食事が始まるとパニックに・・・というように発展していくこともあります。

早急に正しいアプローチをしたいところです。

対応法1

使う食器を変える
別の部屋で食べるなど食事のパターンを変える

まずは、パニックを起こさずに食事を終えるパターンを作ることです。

一時的に音の出にくい食器(紙皿やプラスチック)にしてみてはどうでしょう。

物理的に音の出ない環境で、最後まで落ち着いて食べきるパターンを作るのです。

また、ガラッと雰囲気を変えるために別の部屋で食べるなどの変化をつけるのもいいかもしれません。

パニックの起きる条件を変えることで、現在の食事時間の悪いパターンを断ち切りましょう。


弥応法2

茶碗の音に少しずつ慣らしていく・・・耐性トレーニング

落ち着いて食事ができるようになってきたら、次に「茶前の音が鳴っても絵かずにいられた」というパターンを作らなくてはなりません。

とはいえ、食事場面で音を聞いたらまたパニックになる可能性が高いので、慎重に進めなくてはなりません。

①食事場面以外で茶碗の音を立てる

②食事中にあえて音を立ててみる

①のステップでは、「手はおひざ」で態勢を整えてから音を立てます。

「茶碗の音がしても泣きません」など直前に意識づけをするのもよいです。

このようにして、音を聞いても大丈夫だった、というパターンを作ります。

これがクリアできたら、食事的間にも以前の食器を用いて音を立ててみます。

目の前に見えている食器で軽く音を出してみて、ちょっとビクッとしても立ち直れる程度から練習し、徐々に範囲を広げていきましょう。

タイミングをみて、意図的に行うことが大事です。この段階でやりすぎてパニックを起こさないようにくれぐれも注意してください。


対応法3

プリント学習で食事中のマナーを教えていく



今回のRくんの場合、読み書きが良くできるとのこと。このようなお子さんには、文字での学習・お約束が有効な場合があります。

プリント学習として、食事中にしてよいこと・悪いことをお約束することで、視覚的にも記憶に残り思い出しやすくなります。


また、問題の場面に遭遇した時にどうすべきか冷静に考えさせるようにしましょう。
このプリント学習は毎日繰り返すことでより定着しますし、食事直前に再度復習ができるとなおよいです。

また、食事の時に、食卓に「茶碗が鳴っても泣きません」と書いた約束カードを置いて、意識付けしておくのも一つの方法です。

私が実際関わったケースで、同じようなことが園で起こり、園の給食時にパニックになってしまうお子さんがいました。

家庭で上のようなお約束プリントをお母様が作成し毎日書かせたところ、今では昼食時の問題は落ち着いたとのことで、私自身文字学習の有効性を改めて実感しました。

こうした約束ができる下地として、普段からの学習指導の積み重ねがあったことは言うまでもありません。

この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

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コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
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