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発達プログラム No.158 緊急時を乗り切る―日々の療育がカギとなる―より、
「今だから見直そう 余暇の過ごし方」の記事をご紹介します。

危険な暑さの中、室内で過ごすことが多い夏休みをお過ごしのことと思います。
今回ご紹介する記事は、コロナ禍の過ごし方を特集した発達プログラムより抜粋しています。
コロナ禍において、なかなか外に出られなかった状況は暑い夏休みの過ごし方に通じるところがあります。
家庭で過ごす夏休み。だからこそ見直せる余暇の過ごし方を考えていきましょう。


「今だから見直そう 余暇の過ごし方」では、次の①~④を掲載しています。

あそびの冒険
 ①おうちで、Let’s製作

 ②楽しみながら取り組める運動課題
 ③~放課後等デイサービスでの取り組み~
       楽しくて、脳トレになる余暇活動の工夫
 ④Q&A ゲームや動画視聴は、やめるべき?

この内、④
のゲームについてQ&A形式で書かれた記事をご紹介します。

今だから見直そう!余暇の過ごし方
あそびの冒険④

Q&Aゲームや動画視聴は、やめるべき?

Q
小学一年生(個別支援級)の母です。
私は、家にいる時間、本人の好きなDVDを見せたり、タブレットを使って無料アプリゲームや動画を見せています。
夫は「子供の成長によくない」と使用を反対します。
私としては本人の好きなことを取り上げてしまうのは可哀そうでしたくはありません。
どうすべきでしょうか?


A
テレビ・ゲーム・動画視聴についてのご相談は近頃多く受けるようになりました。
スマートフォンやタブレットの普及により、より手軽に映像鑑賞やゲームができるようになったことも理由の一つでしょう。
見せること自体は決して悪いことではありません。
ゲームでも体を動かして行うものも多く、良いトレーニングになるものもあります。
重要なのは使い方です。


ゲーム・動画視聴は使い方次第で善にも悪にもなる
テレビ・DVDは他者と時間を共有できる過ごし方の一つになります。
成人施設では、昼食後の余暇として利用者みんなでテレビを見る所も少なくありません。
ヘルパーさんと映画館で映画鑑賞をするという方もいらっしゃいます。
その方は、映画を見たあと、「楽しかった?」の問いに言葉では答えられなくても、笑顔でヘルパーさんを見返すそうです。
これこそが気持ちの共有です。コミュニケーションとは、他者と同じものを共有し、感情を通わせる経験をすることでより成長します。
最近はタブレットが普及し、手軽にどこでも動画視聴やゲームが楽しめるようになりました。
便利さゆえ、自室にタブレットやゲーム機を持ち込み何時間も没頭している子も多いのではないでしょうか?
障害の程度に関係なく、タブレットやパソコンといったモバイルツールに没頭しすぎてしまう子が増えていいます。
ゲームや動画視聴に浸りながら1人で過ごす時間が長くなることで、他者との直接的な関わりから遠ざかるようになり、コミュニケーション不全が助長されてしまいます。
メディア使用は『いつ、だれと、どこで、何をするか』により、発達を促しコミュニケーション力を高める余暇にもなれば、社会的不適応を引き起こす余暇にもなり得ます。
この分かれ道となるポイントを押さえて使用することをお勧めします。

テレビや動画視聴を良い余暇にするために注意すべきこと
メディア使用をより良い余暇にするには、『公共施設利用を想定したルールで見ること』ができるようになる必要があります。
本人のマイルールが、家族間で暗黙の了解として許されていた結果、通所先やショートステイ先でトラブルになったという話は少なくありません。

【見直すべき家庭での行動例】
①ながら見
 うろうろしながら横目で見る・叫びながら見る・ぴょんぴょんはねながら見る・ザッピング(チャンネルをころころ変えながら見る)
②同じもの、同じ場面を繰り返し見ている
③テレビの主導権は本人にあり、家族の希望でそれ以外の番組を見ることができない
④字幕を出す・時間表示を出す等本人独自の決まりごとがある

【守らせたいルール】
①姿勢
静かに座ってみる(着席の持続)

②場所
リビングで鑑賞する(何を見ているのチェックできるところで見る)

3 時間
本人の着席注視持続時間に合わせ
設定する(30分の着席注視が目標)

4内容
大人が介入し調整しても怒らない「余暇=好きなこと」と捉え、本人の嗜好に任せていると、決まったものを繰り返しみるようになり、いずれこだわりになります。
何を見るかは大人が介入し調整しましょう。
高機能タイプの方のなかには、戦闘・死といったテーマに強く惹かれやすい方もいます。あるお母様は、殺人事件を解決するものや、戦闘シーンが多く出てくるような作品はいくら子供向けのものであっても避けるようにしているそうです。

ルールを守った視聴ができるようになるための練習
ルールを定着させるためには練習が必要です。

①15分は着席して見ることができるように練習します。
 立ち上がりそうになったり、常同行動が出始めたら、着席を促すよう接触介助してあげましょう。
※あくまで大人は黒子なので、「ダメでしょ」「見なさい」といった声かけは控えてください。

②15分座れるようになってきたら、少し距離を置いて(1m以上)見守りましょう。


③少し離れて30分着席できるようになったら、お母さんは家事をしながら見守ってみましょう。


④やり取りが可能な方は、他者と一緒に鑑賞し、鑑賞後にやりとりを必ずするようにしましょう。

やりとり例
・何を見ましたか(          )
・誰が出てきましたか (
・〇〇は誰と一緒に遊びに行きましたか
・〇〇は何を買いに行きましたか

中略


ゲームも同様です。一か所に座って、決められた時間で終了できるようにしましょう。
やり取りができる方は、ゲーム終了後、今日のゲームのルール説明や、結果報告(勝負等)をさせましょう。
良いタイミングで離席を止め、座って見続けたという経験回数が増えると、身体が何度も経験した『座って見る』を学習します。着席注視時間が長くなることで、学習の集中時間が延びる方もいます。
逆も然り、学習で着席時間を延ばすと、鑑賞時間も延び充実した余暇へとつながります。

使い方次第で、コミュニケーション力を育て、発達を促すものにもなれば、こだわり行動を助長させ、発達を阻害するものにもなります。
保護者の方が強い意志を持って余暇力を育ててあげて下さい。


この記事をご紹介したのは…


 




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

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コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
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