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『高機能自閉症・アスペルガー症候群Q&A』のQ2をご紹介します。

Q2.ネガティブな発言を繰り返す

中学2年の男子です。
利用している福祉サービスの面談の際、
「本人が『さみしい』『誰も信じられない』『毎日がつらい』等の言葉を最近よく支援員に訴えるので心配」と言われ、とても驚いています。
家族の環境は普通で、トラブルも特に無く、家庭内や学校ではそのような素振りは見せません。
愛情不足が原因のようなことを言われ困惑しています。
 

A2.

愛情不足が原因ではありません、コミュニケーション力不足が原因です。

よくよくお母さんに話を聞いてみると、家庭でも同じような現象が起きていました。

小さなささくれのような傷を何度も「痛い」と報告してきて、母に「大丈夫?」と言ってもらいたいというものです。

彼にとっては、「痛い」=「大丈夫?」(優しくされる)、「さみしい」=支援員さんがいつも以上に優しくたくさん話を聞いてくれる、
という結果につながります。

 

このように、彼にとって「痛い」や「さみしい」という言葉は、自分が快刺激を受けるための手段になってしまっているのです。

「さみしい」と言われたら、支援員さんは、それはそれは心配し、優しくしてくれるでしょう。

こんな快刺激がパターン行動にならないわけがありません。

先日相談をお受けしたケースでは、登校拒否をする子どもを学校に出すために、登校前に好きなおやつを買い与えていたところ、
どんどんエスカレートして毎朝五千円以上になってしまったとのこと。

悪化したのは、お子さんから「買ってくれたら学校行くよ」と言われたり、
それでも買わないと伝えると「僕は嫌われちゃった」「逃げてやる」といった言葉が出てくることからでした。

彼らは本能的に大人がひるむような言葉をよく知っていて、このようにして大人の行動を誘導してしまうのです。


過剰反応をしないこと

感情の問題ではなく、コミュニケーション力の問題がことを混乱させているのです。

ですから、「さみしい」や「逃げてやる」のような言葉に過剰な反応をしてはいけないのです。

質問のケースは、まず家で「痛い」というキーワードが出た時に過剰反応せず「治るまで言ってはいけません」などと具体的な行動を教え、そ
のワードが出ないようにしましょう。

その上で、「痛い」について、どんな時に伝える言葉なのかを概念学習していくようにします。

「さみしい」についてもできれば、一定の期間さりげなくかわして別の活動に切り替えるようにするといいでしょう。

しかし事業所には、それぞれの考え方もあります。ルールを決めてもらう等、できる範囲での方法を提案してみましょう。

そして家では、話を聞いてもらいたいときの会話の仕方や、何かしてほしいときのお願いの仕方を、できたら何パターンか教えましょう。

書いてみせて教えることが分かり易いです。そしてシミュレーションを実際にしてみましょう。

この記事をご紹介したのは…


 



コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
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さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

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