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発達プログラム123号「集団行動Q&Aより

「反応格差」現象の記事をご紹介します。

場面が変わると別人のようになってしまう現象があります。
この反応格差について、Q&A形式でご質問に答えていきます。


Q1家ではできるが、学校ではできない

小学校3年生男児の母親です。特別支援学級に通っています。

家庭では、私が見ていれば1時間でも座って学習することができます。

けれども学校では鉛筆をふったり、イスをガタガタさせたりしてまったくやる気がありません。

また、先生に少し間違いを指摘されただけで泣いて騒いでしまい、声も大きいので、別室に移されていることもあるようです。

先生に、しっかり取り組ませてくださいとお願いしていますが、なかなか聞き入れてもらえません。どうしたらよいでしょうか。





Q2学校ではよいが、家では指示が入らない

小学校2年生男児の母親です。特別支援学級に通っています。

学校では先生の指示に従って活動でき、「落ち着いていますね」と、よくほめられます。

けれども、私と二人きりになるとまったく指示が入りません。

宿題のプリントを出しても「こんなのやらないよ!」と払いのけ、筆を投げたり、私をたたいたり、けったりすることもあります。

なんとか学習を始めても、少しロをはさもうとすると、声を上げていやがります。

やはり親だと甘えが出てしまうのでしょうか。




A
正反対のご質問ですが、どちらも人や場所によって反応が180度かわってしまう、「反応格差」によるものです。

自閉症児は、この刺数にはこの対応という1対1対応が強く、同じプリント、同じ指示でも、学校で先生が出すのと家でお母さんが出すのでは同じことだとはとらえられず、まったく別の反応が出てしまうのです。

ですから、

家でできるから学校でもできるはず

学校でできるから家でもできるはず

という図式は通用しないことが多いのです。


Q1のような場合

母の言い分…「学校でできないのは先生の対応が悪いからだ」

先生の言い分…・「母が家でやらせすぎるから、その反動で学校では反発するのだ」


Q2のような場合

母の言い分…「学校で無理やりやらされている反動で家だと甘えたがる」

先生の言い分…・「母が甘やかしているから、家でできないのだ」というような責任のなすり合いになってしまうこともあります。


これでは教師と親の関係が悪化するだけで、何のメリットもありません。

教師も親も「反応格差」現象を理解し、人や場面による反応の差を減らすための努力を重ねていくことが解決への道だといえます。


Q1のような状態

お子さんへの対応が上手なお母さんによく見られます(コロロでは抑制系の強いタイプと呼んでいます)。

お母さんが上手に子どもの常同行動を止めたり、わかりやすく教えたりできるため、落ち着いて難しい課題にも取り組めるのです。

ところが、お母さんがいない場所ではそうはいきません。


<対応法>

この状態を改善するためには、「お母さんという存在」がなくてもできることをふやしていくことが必要です。

次のような課題に取り組みましょう。

・家で手作業やプリント、板書など簡単な自習課題に20~30分続けて取り組む。

・行動トレーニング (正座・立位など)を20~30分一人で続ける。

・雑多な刺激のある環境(レストランや児童館など)でも学習する。


このようなトレーニングをすることで、自己コントロール力を高め、母子の密着度を減らしましょう。

学校などの集団参加の場は、行動チェックの場と考えるとよいでしょう。


Q2のような状態

ふだんマイペースな行動を認めて好きなようにさせているのに、宿題だけは指示してやらせようとするお母さんや、他の人とならできるのだから私とだってできるはずと、無理にやらせようとする真面目なお母さんに見られます。

また、これまでのお母さんとのやりとりで、「指示する→反発する」がパターン化してしまっているのかもしれません。


<対応法>

まず、簡単なことからお母さんの指示に応じられるようにし、「家でも反発せずにできること」をふやしましょう。

生活面では、

・手をつないで歩く。

・何かを始めるとき(食事のときなど)10カウント待つ。

・ゴミ捨て、食器運びなど簡単なお手伝いを指示に応じてさせる。


学習面では、

・簡単な作業やプリントなど、お母さんが出したものに取り組む。そのさい、よけいな声かけや指示を極力なくし、反発しないで取り組む姿勢をつくる。


お母さんの対応で注意することは、

・言葉かけをしすぎない→見て分からせる。

・先手対応→やってから止めるのではなく、早めに介助してできるパターンをつくる。


このような対応を心がけ、反応格差を減らしながら、家庭でも学校でも落ち着いて過ごせるようなパターンをつくっていきましょう。




この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

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