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発達プログラム No.170発達プログラム170号「かんしゃく、イライラ、怒りやすさへの対応法」より
「困った行動Q&A」の記事をご紹介します。

Q.6歳の息子は多動で、会話でのやり取りが難しく、大人の手を取りクレーンで要求します。

こだわりが多く、コンビニがあれば必ず入店し、お菓子やジュースを買わないと癇癪を起こしてしまいます。

自動販売機でも同様で、見たら買わずにはいられません。

のどが渇いているわけではないため、買っても飲まないということも少なくありません。

家の中でもご飯中に遊びたがり、何口か食べては、遊ぶために離席します。

これを止めると癇癪。

外に行きたいと玄関まで手を引いて大人を誘導し、外出できないと癇癪。

気づくと一日に何度も癇癪を起こしており、どう接していいのか、困っています。

こちらの言うことが分かるようになったり、言葉で自分の気持ちを伝えたりすることができるようになったら、癇癪は起こさなくなるのでしょうか。



A.お子様の癇癪が日に何度も起こると、毎日接しているご家族は精神的にも肉体的にも疲弊する日々を送られていることでしょう。

癇癪は年齢的成長とともに減るものではなく、大きくなると、自傷・物損・他害と癇癪時に起こる問題行動が増えてしまい、手が付けられない状態になってしまうケースが少なくありません。

「癇癪は、言葉の成長を待ってから」と言わず、今すぐ癇癪を軽減するための対応をされることをお勧めいたします。

癇癪が頻発している時は癇癪の回数を減らすことに重点を置きましょう。

全て本人のいいなりになるということではなく、癇癪が出ないよう環境を整えることをまず考えてみましょう。


家庭の中でできる環境設定をする

食事中の離席を止めることで癇癪が起こるとのことでしたが、食事をする際、おもちゃは本人から見える位置にありませんか?

遊び場が見えると、そこに行きたくなってしまいます。

食事をスタートする前におもちゃは片づける(=視界に入らない)ようにしましょう。

座る席も重要です。壁を利用したり、隣に大人がピッタリ座り、動く余白を作らない等、離席できないような配置を工夫しましょう。

あるご家庭では、椅子では離席しやすいので、正座で食事をするようにしたら、離席が減ったという方もいらっしゃいました。

配置・食事スタイルを工夫し、一番離席の少ないスタイルを確立しましょう。

食事開始後、お母様はじめご家族がキッチンとテーブルを行ったり来たりするとつられて離席が増えてしまいますので、食事はすべての準備を整え、ご家族の皆様が着席状態でいるところから食べ始めましょう。

自分で食べると、遊び食べになり、食べることに集中しきれなくなるお子様は多いです。

癇癪が多い時期は、一人で食べる練習よりも、癇癪軽減を優先させるため、大人が介助し食べさせてもよいでしょう。


強いこだわり場面は一旦回避する

お店や自動販売機のこだわりは、よく相談を受けることが多いこだわりの一つです。

癇癪頻発時期には、お子さんと一緒にコンビニやスーパーで買い物することはこだわり強化になってしまいますので避けましょう。

また、歩行はコンビニ・自動販売機がないルートを選びましょう。

しかし、このご時世、すべてを回避するということは難しいです。

どうしても回避できない時は、本人がポイントに気付く前にあらかじめ用意しておいたペットボトルを渡し、そちらに気を取られている間に通りすぎたり、少し前から抱っこしてきっと通りすぎる等工夫して、癇癪が起こらないよう回避しましょう。

夜は、周囲が見えづらくなり、本人がこだわりポイントを見逃しやすいという利点があります。

夜に歩行をする日を作ってもよいかもしれません。

環境設定をして、お母さんと歩いても、癇癪を起こさずに家に到着できたという良い経験を積み重ねましょう。

お母さんのペースで座り込まずに1時間手つなぎ歩行ができることを目標に歩行練習を積み重ねましょう。


ユアペース度を高める

こだわりが強く、自分の意に反することに対して癇癪を起こす場合、まだ他者存在の認知が弱いので、相手を意識した生活を心がけることが必要です。

家の中では、トイレに行く、お風呂に行く、洗面所に行って手を洗う、寝室に行く等、一人で室内移動できることも、手をつないでお母さんがリードする(半歩先を歩く)ように室内移動をし、いつでも相手がいるという環境を視覚的にも作りましょう。

「ゴミ箱にゴミを捨ててきてください」

「お盆を持ってください」

「靴箱に靴を入れましょう」等のお手伝いを増やし、相手の指示に応じる力をつけましょう。

例えばゴミ捨てでは、手を引き、ゴミ箱に連れて行き、「ポイして」と声掛けし捨てさせるところから始め、一人でゴミ箱まで行って捨てて戻ってくるところまで教えましょう。

「教える」ということがユアペース度を高めることになりますので、本人のできそうなことを選び、お手伝いのレパートリーを増やしましょう。

ここまで述べてきたような、環境設定の中での歩行トレーニングと、ユアペース度を高める生活を毎日努力しても、癇癪の回数が一気に「ゼロ」にはなりません。

一日の癇癪回数が5回→4回→3回と徐々に減っていれば、実践している環境設定対応がうまくいっているということです。

また、癇癪を起こしている時間が短くなり、切り替えが早くなっていれば、それもうまくいっていると評価しましょう。


癇癪が減ってきたら、積極的療育に移行

戸外歩行1時間が可能になり、家の中でもお手伝いが何個かできる。

また、学習や手作業課題が、お母さんの誘いでいつでもできる状態になったら、こだわり崩しにチャレンジしましょう。

「コンビニ・自動販売機があっても気にせず歩き続ける」練習です。

あえて、歩行ルートに1つだけコンビニ、または自動販売機のあるルートを選んでみてください。

「ここなら通り過ぎることができる!」というルートを1つずつ増やしましょう。

こだわりポイントを通るときは、こだわり物の方に大人が位置取ります。

いつもの歩行のように、手をつなぎ大人がお子様の半歩前を歩けば、お子様の視界にこだわり物が入りづらくなり、通りやすくなります。

こだわり崩しは、こだわり地点ではなく、歩行開始時から始まっています。

「成功させるぞ」という大人の緊張感がお子様にもほどよい緊張感となり成功へつながります。

後略

対応の順番は、

強いこだわり場面は一旦回避するユアペース度を高める癇癪が減ってきたら、積極的療育に移行

です。

ひとつづつユアペース度を高めていきましょう。

ユアペース度が高まると、こだわり対応だけではなく、できることがぐんと増えていきます。



現在ご案内している東京講演会「こだわり改善プログラムPart2」(アーカイブ配信)は、こだわりの起こるメカニズムや、アプローチの方法を、脳科学的な視点から解説した内容になっており、癇癪にお困りの支援者の方にはおススメの講演会です。





この記事をご紹介したのは…



コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

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