〈コラム〉問題行動の原因は睡眠にあり
実践報告 問題行動の原因は睡眠にあり
の記事をご紹介します。
学童期になると、パニックや癇癪など問題行動のご相談が多くなりますが、
日中活動を充実させ睡眠を改善することで問題が改善することが多くあります。
学童期になると、パニックや癇癪など問題行動のご相談が多くなりますが、
日中活動を充実させ睡眠を改善することで問題が改善することが多くあります。
事例1入眠時の姿勢づくりと日中リズムが決め手(小学1年生S君)
S君が入会したのは小学1年生の時でした。
一番困っていたことは、癇癪・パニックです。
本人の行動を制したり、やり直しを要求されると、泣きわめき、他害・物損と大きなパニックとなっていました。
周囲の子の泣き声や大声が苦手で、学校ではパニックが頻発し先生方も対応に困ってしまうほどでした。
家では学校ほどの騒がしさはなく、「ダメ」といわれることも少ないのでパニックは少ないのですがそれでも、寝る前や起きた時に起こるパニックに悩まされていました。
夜寝室に入っても走り回りなかなか寝ようとしない→走り回るのを止め寝かしつけようとする→パニック。
夜寝室に入っても走り回りなかなか寝ようとしない→走り回るのを止め寝かしつけようとする→パニック。
暴れるS君を必死に抑えて寝入るのを待つ→入眠がいつも遅くなる…。
平日の朝は学校に行くために無理に起こすので、そこでまたパニックという状況でした。
こうした事情なので、「土日は、ゆっくり寝かせてあげよう」と、本人が起きてくるまで寝かせていました。
こうした事情なので、「土日は、ゆっくり寝かせてあげよう」と、本人が起きてくるまで寝かせていました。
すると、それはそれで朝のパニックはないものの、その日の寝かしつけがいつもより大変になり、月曜日の朝は再び無理やり起こしてパニック。
睡眠不足は日中もちょっとしたことのイライラにつながり、学校でパニック。
さて、この頃のS君は常につま先立ちで、ピョンピョンと飛び跳ねては走り出していました。
「跳ねる」と「走る」のみで普通に「歩き続ける」ことができませんでした。
学校はもちろん家庭内でもこの様子なのでじっとしていることは少なく、着席し課題に取り組むことも難しく、
食事も偏食が強く頻繁に離席するため毎食大変な思いで食事をしていました。
食事も偏食が強く頻繁に離席するため毎食大変な思いで食事をしていました。
S君の睡眠の乱れの原因
『寝る」ためには身体を止めなくてはなりませんが、S君の場合本人の意思とは関係なく身体が動いてしまい、一か所にとどまることができません。
足裏に床をつけるとピクピクと動き反り返る・周期的に体が屈曲するなど、原始反射・原始運動が体に残っていて、
体を止めたくても止められない状態でした(原始反射については発達プログラム149号参照)。
体を止めたくても止められない状態でした(原始反射については発達プログラム149号参照)。
本人は疲れていて眠りたいけれど、身体が動いてしまい眠ることができないのです。
母もそれは感じており「眠いと不機嫌になりイライラし出し、寝かしつけたいけれど何をしても嫌がって眠れない」と訴えています。
S君のように学童期になっても、眠気で不機嫌になり、イライラ→パニック状態になるという子は少なくありません。
寝ぐずったら背中をトントンしてあげたり、さすってあげれば眠れると考えがちですが、接触反射で触られることを嫌がるS君にはこの方法は逆効果でした。
気持ちよく入眠するためには、身体を一定時間止められるようになることが必要と考え、プログラムを実施しました。
眠るための身体作り
①歩行・・体を動かすことでコントロールする力を養う
足裏反射の残存により跳ねる行動が強く、多動になっているので、まず跳ねずに歩く練習をしました。
手をつなぎ、跳ねないよう重心が下方に向くように大人が手を引きます(図1)。


また、ペースも重要です。大人がペースを決め、一定のリズムで歩くようにしました。
はじめは座り込んだりすることもありましたが、30分を目標に始め、1か月もしないうちに1時間は歩けるようになりました。
1時間歩き続けると呼吸も整い、後半は跳ねずに自立歩行できるようになってきました。
平日帰宅後の歩行を日課にし、慣れてきたら、登校前にも遠回りをして歩行時間を確保し、土日は午前と午後の2回歩行をしました。
またS君の場合、パニックの前兆には表情が硬くなり、その後腕を頻繁に動かし出すことがわかってきました。
この様子が見られたら、すぐに歩行に行くようにし、パニックの回避方法としても有効でした。
またS君の場合、パニックの前兆には表情が硬くなり、その後腕を頻繁に動かし出すことがわかってきました。
この様子が見られたら、すぐに歩行に行くようにし、パニックの回避方法としても有効でした。
②手作業・学習・身体を一か所に留め置く力を養う
手持ち無沙汰な状態で着席し続けることは難しいものです。
文字の読み書きができるので、簡単なプリントや、手作業課題は本人も何をすべきかがわかりやすく、着席行動が比較的続きました。
手元から目線が外れ、周囲の物に目が行くと、その物へ走り出してしまうので、目線が手元から外れないよう、
大人が指差して次の問題を促したり、作業のキットを一つずつ手渡して5分着席行動が続くことを目指しました。
大人が指差して次の問題を促したり、作業のキットを一つずつ手渡して5分着席行動が続くことを目指しました。
前述の①②の実践の結果、多動が著しく改善しました。
注意を受けることも減り、日中のパニックは減ったのです。
ところが、入眠前のパニックはなかなか改善しませんでした。そこで次は、入眠前までの過ごし方について見直しました。
入眠に必要な環境設定
S君の布団に入るまでの過ごし方は、『入浴→歯磨き→自由遊び→布団へ』でした。
お母さんと入浴し、いつ寝てもいいよう準備をしてから寝る時間までは自由に過ごしていましたが、この自由時間に興奮していたのです。
そのためスムーズな入眠が阻まれていたわけです。
そこで、『入浴→歯磨き↓布団へ』という流れに変えてみたら、入眼前のパニックが激減したのです。
現在のS君
小学校2年生になった現在も毎日の歩行は欠かしてません。
飛び跳ねはほとんど見られなくなり、周囲の方から歩き方が変わったと言われることが増えました(一番近くにいるお母様は、この変化に気付きづらいものです)。
止まって待つことができるようになったので、集団逸脱がなくなり、注意されることが減りました。
止まって待つことができるようになったので、集団逸脱がなくなり、注意されることが減りました。
聴覚過敏も改善され、今では大声で泣いている子がいても、さほど気にせず自分のすべきことに集中できています。
家庭内でも落ち着いて食事できるようになり、偏食が改善されました。
バランスの良い食事と、十分な睡眠により毎日何度もあったパニックが、全く起きない日が数日続くようになっています。
このまま、癇癪・パニックのない日が1か月続くことが今の目標です。
この記事をご紹介したのは…
1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。
コロロメソッドとは
コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
コロロ発達療育センター
コロロ学舎
