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発達プログラムNo.165  発達障害児者の健康ーかかりやすい病気とその予防― より

健康問題を引き起こす食行動とは一

食行動と健康を見直そう

肥満・やせすぎ・糖尿病予備軍・極度の貧血・腸閉塞・水中毒…。

今、目の前の食事場面に、こうした健康問題が潜んでいるかもしれないと思われる方は果たしてどのくらいいらっしゃるでしょうか。

発達障害児・者の「食」の問題は、

①強い偏食
②食べ方 (口にいっぱい詰め込んでしまう、少量ずつしか口へ取り込めない、噛まない、一気に飲みこもうとする、反部など)
③食に関するこだわり行動・儀式行動

が挙げられます。

育児書やネットには

「家族が楽しく食べているところを見せましょう」
「スプーンやフォークで遊んでみましょう」
「感覚過敏やこだわりから生じるもの。安心できるまで根気よく関わって」

などのアドバイスが散見されます。

こうしたごく普通の実践をされても尚、問題が改善しないケースが殆どです。

それはなぜか?彼らの食事の問題が、「気持ちや意欲の問題」だと誤解されているからです。

「食」の問題は、好き嫌いや意欲、気持ちの問題にあらず

人間は胎児期より母体の羊水を使って嘯下の練習を開始し、出生直後から哺乳を開始。

大脳の発達に伴って原始反射が消失する生後5~6か月頃から徐々に捕食や咀嚼を経験していくことで、「口に取り込む・噛む・飲み込む」機能を学習します。

口唇、唇、歯、舌頬粘膜との協調運動が重要で、この機能を育むためには生後から2歳頃が重要な期間とされています。

発達障害により大脳新皮質の機能が未熟なままだと、この学習が上手く進んでいかず、
ちゅっちゅとした少量食べ、噛まないで丸のみ込み・歯を使わずに押しつぶして食べるなど、哺乳期・離乳期の食べ方が続きます。

また、硬さのあるもの・異物感のあるものが舌に触れるとペッと舌ごと押し出してきます。

これも原始反射の残存によるものですが、繰り返されることで「口に取り込まないで吐き出す」ことを学習します。

これが「偏食」のもとです。

意欲や気持ちが育つ以前の、身体(原始運動・原始反射が目的行動に組み換わらない)の問題です。

この対応事例については本号28、29ページで紹介しています。

まずは、「偏食は嗜好の問題ではない。意欲の問題でもない。身体の問題である」ということを押さえてほしいと思います。

同時に、こうした口腔機能の未発達が発語や発音、呼吸とも密接に関わってくることも付記しておきます。



健康問題になりかねない食事事例

事例1【強い偏食】 偏食がもたらす極度の貧血と、服薬ができないケース

Xくん(年中・無発語だが簡単なサインはある)は、白米と揚げ物の衣・果物・グミしか食べられません。

マイペース行動が多く反発・他害・自傷が顕著です。

集団療育により、問題行動が影を潜め始めましたが、原因刺がよくわからない座り込みが日に1、2回見られます。

座り込んだ後に、本人も「あれ?」という表情をしており、スタッフが差し出した手を素直に握ってまた立ちます。

ご家族にお伝えしたところ、年少時より「極度の貧血状態。食事内容の改善をすることと、並行して点滴か服薬が必要」と主治医から言われていたそうです。

しかしながら、先述のように食べるものが限られていること(当然、服薬もできません)、
点滴に応じることも難しいということでそのままになっていたそうです。

原因の良く分からない座り込みは、貧血による脱力なのではないか?と考えました。

再度受診すると、やはり貧血状態は改善しておらず服薬が必要という診断でした。

そこで、お薬を処方してもらい、まずはコロロで服薬練習。

同時に、数種類の野菜や肉魚類も食べるように指導し、それを突破口に、朝夕の家庭での服薬が可能になりました。

現在小学校高学年になりましたが、活動中の脱力もなく、貧血状態も改善しているとのことです。

165号では、
事例2【コミュニケーション・マイペース】「何でも食べられるようになった」ーその親の喜びが、子の過食を見過ごすケース
事例3 成人期に早食い・丸のみ・嘔吐を繰り返す、その兆候は幼児期からあった
と続きます。ぜひ、ご一読ください。



この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
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現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
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さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
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