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事例検証
予兆を捉えて先手を打つ!その①

パニックの原因はストレス、それともフラッシュバック?真の原因を見極めて対応を!

の記事をご紹介します。


前回の続きです。

パニックを減らすプログラム

これらの分析を元にパニックを減らすプログラムに取り組みました。

一日に何度もパニックを起こすS君です。

魔法のようにパニックは減りません。

まずはパニックを一日一回だけに減らすことを目標にしました。

①自由遊び時間を一旦中止 ーユアペースの獲得へー

まずは、一番パニックが起こりやすい自由遊びを一旦中止しました。

本人の唯一の楽しみでもある時間を取り上げることは、お母さんにとっては不安を抱えた決断でした。

しかし、この時間帯が一番パニックを起こすのであれば、無くしたほうが本人にとっても、楽になるはず。

自由時間だった時間は、歩行トレーニングに変えました。

学校から帰ってきたら歩行トレーニング。

夜も、同居のおばあちゃんと共にご近所の方々と、ナイト歩行へ出かけ、家の中にいる時間を減らしました。

家にいると、テレビやおもちゃが目に入り要求になりやすいため、外で過ごすブログラムにしました。

遊べないことが不快で、パニックになるかと思っていましたが、予想に反し、スムーズに自由時間なしを受け入れました。

おもちゃ遊びをしなければ、物がなくなることもないため、パニックもおのずと減りました。

歩行トレーニングは、毎回目的地を決めず、寄り道もせず、違うルートで家↓家を繰り返しました。

今までは『目的地=道順』というパターンしかなかったところに、『目的地なし』という新たなパターンが加わったことがよいパターン崩しになり、
道順が違うからとパニックになることもなくなりました。

毎日お母さんのペースに合わせて歩くことで、歩行以外でもお母さんに合わせるということができるようになってきました。

予定(目的地、道順等)を伝えたり、説明していたからパニックが起こっていたということに、皆さんは気づかれたでしょうか。



②身体づくり

歩行時間が増えたことで身体の分化が進み、上肢は程よく力が抜け、かかとからの着地ができるようになりました。

指先のトレーニングとして、小さなシール貼り等の手作業課題を行いました。

歩行は約一時間。静止トレーニングは10秒からコツコツと積み上げ、体のコントロール力を高めました。

手作業では、開始当初手が止まり、ぼんやりとしてしまうことがありましたが、黙々と手を止めずに課題がこなせるようになってきました。

静止トレーニング・手作業を通して、高い意識レベルが持続し、身体の分化も促された結果、身辺処理は概ねできるようになり、注意されることが減りパニックも減ってゆきました。

が、ユアペース度を維持するため、程々介助・介入しています。

  
     正座              立位              手作業


パニックのない生活を手に入れる

S君は歩行を中心にユアペースの獲得、身体づくり(原始反射の軽減・体の分化)の基礎固めにより、パニックが徐々に減ってゆきました。

小学校6年生になる頃には、パニックが起きそうになっても、お母さんの対応で止めることができる様になりました。

今は、一旦中止していた自由遊びの時間も再開。

音楽鑑賞・テレビ鑑賞等(こだわりにならない程度に)楽しんでいます。

油断するとマイペースが助長されパニックが起きやすい状態になるため、歩行や行動トレーニングは父かさず、日々を過ごしています。

「パニックは、障がい特性の一つで起こるのは仕方がないこと」と考える方も多いのではないでしょうか。

本人も辛いですが、それを見続ける家族も同じくらい辛く、精神的に追い詰められます。

また、言葉が話せるようになれば減るわけではありません。

事実、S君は話せるようになってからパニックが増えましたし、成長と共に激しくなりました。時間が解決する問題ではないのです。

パニックを軽減するには、まず、原因を分析し、パニックが起きる状況を作らないことです。

そして、一見遠回りに見える基礎力作りがパニックの日々からの脱出の一番の近道です。


この記事をご紹介したのは、


 



コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

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