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発達プログラム162号問題行動はもう始まっている―前触れ・予兆の見つけ方と対応―より

事例検証
予兆を捉えて先手を打つ!その①

パニックの原因はストレス、それともフラッシュバック?真の原因を見極めて対応を!

の記事をご紹介します。


小学2年生のS君は、幼児期からあった癇癪・パニックが年齢が上がるにつれて、増えてゆきました。

小学校入学後、大きな声で泣きわめきながら、頭を叩く・膝を噛むといったパニックを30分~2時間毎日の様に起こすようになっていました。

一旦パニックを起こすと、家族はただ落ち着くのを待つしかありませんでした。

家庭では、彼の行動を注意・制止するとパニックになるため、本人の要求にはできる限り応じてきましたが、パニックは減るどころか、頻繁に起こるようになりました。

なぜパニックは起こる?

「お母さんが厳しくしつけているからストレスで起こってしまうのではないか」

「嫌だったことを思い出すフラッシュバックでパニックになるのではないか」等、

原因を心因性と考える方が多いです。

S君のお母さんもパニック軽減の為、本人の意思を尊重し、ストレス軽減を図りましたが、パニックは減りませんでした。

パニックの真の原因を見極める必要があったのです。

そこで、パニックの前に何をしていたか?パニックを起こす直前のきっかけとなった声掛けや事象はなかったか?などをお母さんと客観的にじっくり分析してみました。

すると、彼のパニックには4つのパターンがあることが見えてきました。


①パニックになる時は、自由遊び(お人形遊び・テレビ鑑賞・お風呂で水遊び等)時間である。

お母さんがパニック軽減のため、ストレス発散のためさせていた自由時間が一番パニックを起こしやすい時間であることが分かりました。

自分の思うようにオモチャが並べられない。

使おうと思ったものが見つからない。

テレビを見るのをやめられない等をきっかけ(直前刺激)にパニックを起こしていました。




②「歩いている最中に靴が脱げた」
「道順が違った」「自動点灯の照明がついた」「デザートがなかった(いつも出していた)」「食べようとしたものが床に落ちてしまった」等、本人にとって想定外のことが起こる。

つまり、本人が思っていたのとは違うということがきっかけ(直前刺激)でパニックを起こします。


③人から介助されるとき

S君は、着替えや食事といった所作が苦手でした。

それを教えようと、お母さんが声掛けで教え始めると、次第に不快反応を示します。

最終的にお母さんの声掛けがきっかけ(直前刺激)でパニックを起こします。



④相手がパターン通りに返答しない

急に意味脈略のない質問をはじめ、お母さんが質問に答えられない(直前刺激)とパニックを起こします。

この4つのパターンに加えてS君の問題行動の大元の原因となっていることが3つ、考えられました。


①強すぎるマイペース

日頃から、お母さんに命令することが多かったS君(例:布団から起きるときは手をお母さんに引っ張って!と怒り口調で要求。S君が〇〇と言ったら、お母さんには、必ず4へと答えさせる等)。

自分が思った通りにことを進めたがるマイペースが強い状態でした(その場のルールに合わせて生活できるほど、まだ、ユアペース”周囲に合わせる力”が身についてパニックの原因のひとつでした)。

良かれと思った「受容対応」がユアペース獲得を妨げることになっていたのです。

②身体の未分化

教科学習は年齢に近い理解度でしたが、身体はと言うと、歩き方はつま先歩きで、肘も曲がり肩に力が入り、手つなぎも、自分からは相手の手を握ることができませんでした。

筆圧が弱く、マス目からはみ出し、目を凝らして読まなければならないような字を書いていました。

食事は箸を使用していましたが、挟めないので、食べ物に刺していました。

おかずは刺せても、白米は刺せないので、左手で箸から落ちないよう白米を抑えつつ口に運んでいました。

身体が未分化なため、技術的に身辺処理が困難な状態でした。

やる気の問題ではないのですが、周囲の大人が、本人の現在の力に見合わない年齢相応さを求め、過剰な声掛けや、できないことの繰り返しがパニックを誘発していました。

③意識レベルの低下

S君は入会時、満点がとれる計算問題なのに、15分後は全く解けなくなるという現象が顕著でした。

これは、やる気がないと思われていましたが、そうではなく、意識レベルの持続ができない、つまり、考え続ける力が弱いからでした。

S君は意識レベルが下がると、『口がぽかんと開き、目線が宙を舞う』『独り言が始まる』『笑う』といった行動が出ました。

独り言や笑いは、一見、上機嫌に見えるので、悪い兆しと捉えられず見逃されていました。

S君のお母さんも、独り言を言っている時、笑っている時は一人で楽しそうにしている良い状態だと考えていました。

しかし、何の脈略もなく始まる質問の前段階には、この独り言や笑いが起こっていました。

一方的なおしゃべりが始まると、自ら止めることは難しくエスカレートし、近くにいるお母さんを質問攻めにしていたのです。

意識レベルが下がることもパニックの原因の一つでした。


では、どう対応していったのか。
次回は、パニックを減らすプログラムについて説明していきます。



この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

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