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重度の子のための学習指導
今すぐに始められる!頭と体を使う学習の工夫 の記事をご紹介します。
②『止める』課題

迷路や点と点をつなぐ課題の際、「終点で止まれない」というお子さんはとても多いです。

動かし続けること以上に、動かしている身体や手を目的地点で意識的に止めることは、難しいスキルだと感じています。

難しいですが、これができるようになると、着替えやお手伝いなどの生活動作のスキルアップにも繋がります。

ですから、学習においても「止める」は矢かせない課題の一つです。

点と点をつなぐ課題~S君の実践例~

小学生のS君は入会当初、掴んだ物を反射的に投げてしまう傾向が強く、現在も注意して対応する必要があります。

点と点をつなぐ課題においても、終点を勢い良く通り越してしまい(写真1)、
場合によってはその勢いでペンを振ってしまう・落としてしまうこともあり、
点と点をつなぐ課題が、彼の手の常同行動を誘発してしまっているのでは、と感じることもありました。


         写真1

コロロでの学習は、「課題ができればよい」というだけでなく、学習を通じて、
身体や手のコントロール力を高める・行動リズムを整える、なども重視しています。

ですから、S君にとって点と点をつなげることに加えて、終点で止まることが、重要な目標だと感じ、それに向けて学習に取り組みました。

S君の様子を観察していると、ペンを動かし始めた瞬間に目線が外れる傾向が見られました。

一年程前からぺンを使って迷路などに取り組んでおり、慣れているが故に反射的な行動になりやすいのでは?と考え、
一旦ペンで描かせるのをやめて、少し太めのスティックのり(ふたを付けたまま)を使ってみることにしました(写真2)。

           写真2

ペンからスティックのりに変更スティックのりを、●印に立てることはできましたので(写真3)、

上の●印からスライドさせて、下の●印で止まることができないかと考えました。
また、分かりやすいよう線をなぞらせるようにしました(写真4)。
     
     写真3                 写真4

ペンで線を引くときより、ゆっくり手を動かしていましたが、終点を通り越してしまう、引き返してしまうなど、なかなか止まることはできませんでした。
終点で手を止めるためには、”手をスティックのりから離せれば良いのではないか・・・・とふと思い、
終点に来たところで、タイミングよく「おひざ!」と声をかけました。

すると、終点でのりを止め、手をお膝にすることができたのです!

S君は、日頃の活動の中で、「手はおひざです」の声かけに応じられるようになっていましたので、それを活用した結果です(写真5)。

        写真5

数回繰り返すうち、すぐに「おひざ」の声かけが無くても、私が終点をさりげなく指差すくらいで、手を止めることができるようになっていきました。

この流れからすかさず、ペンで点と点をつなぐ課題に戻しました。

きっちり止まることは難しいものの、ペンの動かし方がゆっくりになっており、「終点で止まろう」とかなり意識していることが分かりました。

成功のポイント!

スティックのりを使いさえすれば、スティックのりで何日もたくさん練習すれば、ペンでも手を止められるようになるか、というとそうではありません。

今回、スティックのりのような目先を変えた教材を即時的に使用したことも効果的だったかもしれませんが、
”これならできそう”というタイミングを見逃さず、
すぐにペンを使った点つなぎの課題に戻したことがポイントと言えるでしょう。

他にもあります!動く→止まるの切り替えのスキルアップを目指した課題

支援者とお子さんが対面します。支援者側とお子さん側に、同じようにイスや踏み台を並べておきます。

支援者は、①端のイスに座る→②隣の踏み台の上に立つ→③隣のイスに立つ→④カゴを持って隣のイスに立つ・・
などの簡単な動作のお手本を繰り返し
示します(その際、できるだけ声かけはせず、お手本のみにします)。

お子さんは、お手本を見て、自ら動作を切り替え、その姿勢を一定時間(数十秒)保持し、
次のお手本を見て、自ら動作を切り替える・・、と繰り返していきます。

お手本を見てマネをする力を強化するとともに、行動の切り替えをスムーズにする、良い練習になります。
お子さんにとって難しくない動作を組み合わせてやってみましょう。






この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

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