コロロのMTによる家庭療育プログラム(発達プログラム No.84 )より、異食でお悩みの保護者の方向けの記事をご紹介します。
MTとは・・・
コロロでは、保護者の皆様に専門的な知識を身につけ、MT(MotherTeacher)・FT(FatherTeacher)としてお子様の家庭療育を行なっていただけるようお手伝いをしています。
会員のお母さまをMTとお呼びしています。
また、MT・FTになっていただくための勉強会を定期的に開催しています。
MTからのご質問
Q・小学生の息子が、床に落ちている小さなごみを口に入れてしまうので困っています。
「ごみを食べてもいいの?」と尋ねると「食べちゃいけない」と答えるのですが、無意識のうちにごみを拾って口にしているようです。
部屋の中にごみがないように気を遭ったり、なるべく止めるようにはしているのですが、それでも床を触っては、見落としてしまうような小さなほこりをつまんで食べていることがあります。
一人で部屋の中で遊んでいるときにもやっているのではないかと心配です。
一人で部屋の中で遊んでいるときにもやっているのではないかと心配です。
こういった問題行動にはどう対応したら良いのでしょうか。
療育スタッフからのアンサーは・・・
A・食べるべきものではないもの(非食物)を口にすることを異食といいます。
こちらの男の子は落ちているごみやほこりを食べてしまうということですが、えんぴつをかじって食べたり葉っぱをちぎって口にしたり、手についた土をなめたりと、異食にはさまざまなケースが見られます。
この男の子は食物・非食物の分別がついているにも関わらず、異食という問題行動が出ています。
お母様にしてみれば、本人は食べてはいけないものと理解しているのにどうして食べてしまうのか、ともどかしく感じていることではないでしょうか。
そもそも異食はどうして起こるのか、そこからお話していきたいと思います。
この男の子は食物・非食物の分別がついているにも関わらず、異食という問題行動が出ています。
お母様にしてみれば、本人は食べてはいけないものと理解しているのにどうして食べてしまうのか、ともどかしく感じていることではないでしょうか。
そもそも異食はどうして起こるのか、そこからお話していきたいと思います。
異食はどうして起こるのか
異食というのは、空腹感を感じているから食べるというわけではなく、また、その非食物はどんな味がするのか試しているわけでもありません。
口の中に何かが入っている感触を楽しむ、いわゆる”自己刺澈遊び”の一種であると言えます。
自己刺激遊びというのは触覚に頼った脳幹レベルの行動であり、脳が高次な使い方をされていないということを表しています。
ですから、よく考えれば(大脳レベル)食物・非食物の区別がつくのに、意識レベルが下がったときに無意識的な行動(脳幹レベル)として異食が現れるのです。
口の中に何かが入っている感触を楽しむ、いわゆる”自己刺澈遊び”の一種であると言えます。
自己刺激遊びというのは触覚に頼った脳幹レベルの行動であり、脳が高次な使い方をされていないということを表しています。
ですから、よく考えれば(大脳レベル)食物・非食物の区別がつくのに、意識レベルが下がったときに無意識的な行動(脳幹レベル)として異食が現れるのです。
男の子のお母様によくよく話を伺うと、男の子が大好きな手作業に取り組んでいるとき、物事に集中してとりくんでいるときは、全く異食が見られないそうです。
反対に、何もしていないときやぼーっとテレビを見ているときに、小さなごみを探しているかのように手が動いていることが多いそうです。
このような自己刺激遊びは習慣化しやすく、本人の意思では変えづらいパターンでもあります。
頭の中でごみは食べてはいけないものと分かっていても、無意識的にその行動が出てしまうので本人にはどうすることもできない、といっても過言ではありません。
ですから子供の異食行動を止めさせるには、まわりの大人が断固たる意志をもって対応していく必要があります。
頭の中でごみは食べてはいけないものと分かっていても、無意識的にその行動が出てしまうので本人にはどうすることもできない、といっても過言ではありません。
ですから子供の異食行動を止めさせるには、まわりの大人が断固たる意志をもって対応していく必要があります。
大人はどのような対応をしていけばいいのか
では実際に、異食行動に対して大人はどのような対応をしていけばいいのでしょうか。
ここで私が体験した一例をもとに、対応法について進めて行きたいと思います。
環境設定と食事指導
戸外歩行中、二人で手つなぎをしていた子のうち、道路の端側を歩いていた子供が葉っぱをちぎって口に持っていこうとしました。
私はあわてて葉っぱをとりあげましたが、しばらくするとまたその子は葉っぱをちぎり、口に持っていこうとしました。
その都度止める、という対応を二、三度すると葉っぱちぎりは止まりました。
それからしばらくして忘れた頃に、また葉っぱちぎりが始まりました。
その都度止める、という対応を二、三度すると葉っぱちぎりは止まりました。
それからしばらくして忘れた頃に、また葉っぱちぎりが始まりました。
今度は私も対応を変えて、手をつないでいるお友達と位置を換えて、その子が葉っぱに触れられないようにしました。
それからは何事もなく歩くことができました。
それからは何事もなく歩くことができました。
この歩行の最中、葉っぱを食べようとした子供に対して、私は基本的な二つの対応をとりました。
一つは葉っぱを口に持っていく前に止める・葉っぱをちぎろうとしたときに止める、というようにタイミングよく止める方法です。
二つ目は、その子が葉っぱに触れないようにして異食をさせない、できない環境にする、すなわち環境設定の方法です。
基本的な対応法ですが、これが異食行動を止めていく重要なものになってきます。
一つは葉っぱを口に持っていく前に止める・葉っぱをちぎろうとしたときに止める、というようにタイミングよく止める方法です。
二つ目は、その子が葉っぱに触れないようにして異食をさせない、できない環境にする、すなわち環境設定の方法です。
基本的な対応法ですが、これが異食行動を止めていく重要なものになってきます。
また、直接的な対応法ではありませんが、日々の食事指導も大切です。
異食をする子供には味覚が育っていない子が多いといわれています。
食事指導はいろいろな味・食感を経験させて口腔機能を向上させること、または味覚の学習をさせることを目的としています。
異食をする子供には味覚が育っていない子が多いといわれています。
食事指導はいろいろな味・食感を経験させて口腔機能を向上させること、または味覚の学習をさせることを目的としています。
ですから異食を防ぐためにも食事指導は重要であると言えます。
話を冒頭の男の子の例に戻しますが、タイミングよく止めるという方法はご家庭でとられているようです。
お母様の目の前で異食行動が出たときにはタイミングよく止めていく対応でよいと思いますが、なかなか全部が全部止められるというわけにはいきません。
そういうときには異食をさせない環境を作ってあげてください(環境設定)。
部屋の中にごみがないようにしている、というのも一つの環境設定ですが、それでもなおテレビを見ながらごみを拾っているというのならば、テレビを見るときには高めの椅子にすわらせて、床のごみを拾えないようにすればいいと思います。
一人で遊んでいるときの様子が気になるのであれば、常に目の届く位置で遊ばせるようにすればいいのです。
お母様の目の前で異食行動が出たときにはタイミングよく止めていく対応でよいと思いますが、なかなか全部が全部止められるというわけにはいきません。
そういうときには異食をさせない環境を作ってあげてください(環境設定)。
部屋の中にごみがないようにしている、というのも一つの環境設定ですが、それでもなおテレビを見ながらごみを拾っているというのならば、テレビを見るときには高めの椅子にすわらせて、床のごみを拾えないようにすればいいと思います。
一人で遊んでいるときの様子が気になるのであれば、常に目の届く位置で遊ばせるようにすればいいのです。
常に子供の様子を気にしているのは大変なことではあります。
しかし前述したように、異食行動というのは自然に消えるものではありません。
まわりの大人が止めていくように努力していかないといつまでも解決されません。
異食行動は、ばい菌がついたものを口にすることによって病気にかかってしまう恐れがあります。
街中でよく見かける植物の中に、毒性をもつものは案外多いそうです。
そのようなことを招かないためにも、異食は絶対にやめさせなければなりません。
しかし前述したように、異食行動というのは自然に消えるものではありません。
まわりの大人が止めていくように努力していかないといつまでも解決されません。
異食行動は、ばい菌がついたものを口にすることによって病気にかかってしまう恐れがあります。
街中でよく見かける植物の中に、毒性をもつものは案外多いそうです。
そのようなことを招かないためにも、異食は絶対にやめさせなければなりません。
後略
覚悟を持った対応が必要
記事では「異食は必ず直ります」と締められています。
異食行動が、将来お子さんを苦しめる結果にならないよう、絶対に止めるという覚悟を持った対応をしていきましょう。
異食が直ると、食事も楽しめるようになります。
一緒に「おいしいね」「うれしいね」が共感できるようにしていきたいですね。
発達プログラム84号
異食行動が、将来お子さんを苦しめる結果にならないよう、絶対に止めるという覚悟を持った対応をしていきましょう。
異食が直ると、食事も楽しめるようになります。
一緒に「おいしいね」「うれしいね」が共感できるようにしていきたいですね。
この記事を書いたのは…
発達プログラム84号
1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。
コロロメソッドとは
コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
コロロ発達療育センター
コロロ学舎