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伝わらなかったら方法を変えることが「そうか!」を引き出す

『書く』ことではピンとこなかった穴うめが『貼る』ことでわかった!

コロロでは多くの場合、量の概念を教える前に数列の法則に気付けるよう課題を進めていきます。

模写の力がついてきて記憶ができるようになってきたころをねらって、数列書きを始めていきます。

1から10の数列を模写から始めて、覚えて空で書けるようになったら20へ、30へと進めていきます。

お子さんによって違いはありますが、1~30、1~~50くらいまで覚えて書けるようになってきたら、〇を数える練習をしていきます。

その〇数えは、たし算へと発展させていきます(ここでは〇数え、たし算のお話は省きます)。

『形式がかわっても同じ数列なんだ!』という気付きをたくさん経験することで数列の概念が肉付いていきますので、

丁寧にいろいろなパターンで数列の課題を出していきます。






数列の穴うめができないJくん

Jくんは、発語はありますが書字をたくさん覚えらないお子さんです。

模写は得意で、模写でしたらたくさんの単語を書けますし、数列は20くらいまで覚えていて書くことができます。

20くらいまで書ける数列の中で、いろいろなパターンで数列の課題に取り組んでいる際に、穴うめ問題でつまづいてしまいました。

さまざまな働きかけで空いたところにあてはまる数字を書くことを伝えましたが、ヒントがなくなると途端に前の数字を模写してしまいます。

『見えた文字を模写する』というスイッチがどうしても切り替わらないかのようでした。
そこで一旦えんぴつを持たせることをやめてみました。


『書かずに数字を当てはめる』方法に切り替える

書くことができない・・・それなら数字を当てはめることはできるのか?

シールに数字を書いて渡し、場所を選んで貼ることができるか・・・!?


できました。


穴が3つ4つあっても、自信満々に貼っていきます(①)。

そこで、新しく紙を変えて同じように数字シールを見せ、

貼る場所をJくんが見てから「これをここに書くんだよ」とばかりにえんぴつを渡しました(②)。


書けました。


次は、シールは見せずに穴を指さして書くことを促すと・・・(③)


書けました。書けました。


新たに紙を変えて、シールのヒントがなくとも次からは書けました。


穴うめが分かった!


模写ではなく、あてはまる数字を書くことへの切り替えポイントが見付けられました。

ここで(私が)喜びすぎると、せっかくの集中が途切れてしまうので「できたね」とひとこと声をかけ、

Jくんのスッキリ顔を確認して、別の課題へと切り替えていきました。


伝わらなかったら伝える方法を変えることが早道

「そうか!」を引き出したのは運動の切り替えでした。

Jくんの場合、どうしても前の数字を模写してしまっていましたが、

模写スイッチが切り替わったのは『書く』動きから『見て貼る』という運動に切り替えたからです。

また、あてはまるところにシールを貼ることが難しければ、数列の穴うめ問題はまだ時期が早いということになりますので、

チェックのためにも数字シールを貼ることを試みました。

コロロの学習では、歩みはゆっくりでも『ひとつクリアしたらやり方を少し変えてチャレンジしていく』ことをコツコツと積みかさねています。

新しいことをわかろうとするその時に、頭をしっかり使うからです。


この記事を書いたのは…


コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

コロロ学舎はコロロメソッドを実践する成人入所施設・放課後等デイサービス事業等を運営しています。

コロロメソッドとは
コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。

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