課題の設定を丁寧にすることで「できた!」が増える
コロロでは、ものに名前があることを発達障害のあるお子さんに伝えていくのに、
同じ絵柄のカードをマッチングさせる課題(同型マッチング)をステップアップさせていきます。
同じ絵柄のカードをマッチングさせる課題(同型マッチング)をステップアップさせていきます。
今回お伝えする事例は、同型マッチングがなかなかできなかったお子さんKくんが、
ちょっとやり方を変えたらすぐにできるようになったというお話です。
ちょっとやり方を変えたらすぐにできるようになったというお話です。
同型マッチング
見続けられなかった理由は、何を求められているかがわからなかったから
同型マッチングの課題を求められて、すぐにわかるお子さんもいれば、求められていることがわからないお子さんもいます。
わからないお子さんの場合、同型マッチングの前段階の課題に「カード弁別」をします。
「カード弁別」とは、イラストの様にお皿などにカードを弁別して入れていく課題です。
カードは一枚づつ手渡しで行います。
カードは一枚づつ手渡しで行います。
イラストカード弁別
これをカードマッチングにステップアップさせていきます。
Kくんもこの流れで学習を進めてきました。
1週間の1回の学習の時間に、毎回新しい「できた」を経験させていきます。
Kくんは1週目に『ものいれの課題→弁別2種へ』、
2週目に『弁別2種→3種へ』、
3週目に『弁別→台紙を使ったカードマッチングへ』といった感じです。
2週目に『弁別2種→3種へ』、
3週目に『弁別→台紙を使ったカードマッチングへ』といった感じです。
1週目『ものいれの課題→弁別2種へ』
2週目『弁別2種→3種へ』弁別物をカードに変えていく
4週目『弁別→台紙を使ったカードマッチングへ』
4週目『弁別→台紙を使ったカードマッチングへ』
ところが4週目の『弁別→台紙を使ったカードマッチングへ』のときに、それまで見る目になっていた目付きが弱くなりました。
カードを渡すテンポを速く、なおかつ目線をつるようにゆっくり動かしてみたり・・・と、こちらの動作も工夫しても状況は変わらず。
同じカードをお皿へ入れ分ける『弁別』は喜々として取り組んでいたのに、
マッチング学習の導入でよく使われる『一点穴埋め法』でも、同じカードの下に置くということが伝えきれませんでした。
マッチング学習の導入でよく使われる『一点穴埋め法』でも、同じカードの下に置くということが伝えきれませんでした。
一点穴埋め法でも見ないKくん
ここで、やり方を変えた
目の前で使うカードは、同じ絵柄のもの2枚だけにしたのです。
まず1枚を滑らせてドッキングしてみせました。そして、同じようにするように促しました。
できたら「できた!うれしい!おもしろい!!」という気持ちを感じてもらい(「そうだよ!できたね!」と共感します。このときとっても嬉しそうでした)、何度か繰り返しました。
カードをスライドさせてドッキング!
カードをスライドさせてドッキング!
『カードをドッキングする』ことができるようになってから、
先ほどの『一点穴埋め法』と『スライド法』を組み合わせることで、
並べられたカードを見比べてマッチングするということができるようになりました。
先ほどの『一点穴埋め法』と『スライド法』を組み合わせることで、
並べられたカードを見比べてマッチングするということができるようになりました。
スライド法 → 『一点穴埋め法』と『スライド法』
きっと、Kくんは机の上に何枚もカードがあったため、
何を求められているか、
どれをみたらよいかがわからなかったのだと思います。
何を求められているか、
どれをみたらよいかがわからなかったのだと思います。
求める課題ができなかったときに、やり方を変えてみることは「できた!」を増やすのにとても大事なことです。
人がみな感じ方が違うように、お子さんたちの教材の見え方が違うことを肝に銘じていきたいと感じた事例でした。
テンポやタイミングも大事だけれど、課題の設定を丁寧にすることで「できた!」が増える
Kくんは並べられたカードの中の置かれていない一点を見付けさせるのではなく、
カード同士をスライドさせる動作を知ってもらうことでそれが突破口になり、次へ進めることができました。
カード同士をスライドさせる動作を知ってもらうことでそれが突破口になり、次へ進めることができました。
このあとKくんは週を重ね、7枚8枚ほど並べられたカードにマッチングができるようになってきています。
今回、マッチングの課題だけを取り上げましたが、併行して歩行や身体のコントロールの課題も行っています。
それらをバランスよく進めることが、とても大事です。
この記事を書いたのは…
1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。
コロロメソッドとは
コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
コロロ発達療育センター
コロロ学舎