〈コラム〉「何かすっきりしない、どこか変だ……」の原因と対応
『家庭学習の進め方』の記事をご紹介します。
子どもと接しながら、「何かすっきりしない、どこか変だ……」というような気持ちになることがあります。
例えば、ものごとが比較的よく理解でき、指示や課題もほどほどにこなしているのに「落ち着きがない」「問題行動が減っていない」というような、
部分的にはよくなっているのに全体像が変わっていない、というような場合です。
部分的にはよくなっているのに全体像が変わっていない、というような場合です。
そんなときは「何か、どこか、指導のポイントがずれているのではないか」と、再度対応法を検討し直す必要があります。
コロロの教室は、週1回約2時間のレッスンが原則で、毎回「お母さんの宿題」を出しています。
母子で机に向かい合って1時間くらいでできる量が平均的ですが、運動や作業の宿題が加わる場合もあります。
本来なら、この宿題を忠実に実行していければ、成果は上がるはずなのですが(もちろんそうなることが多いのですが)、
ときどき前述のような「変だな」ということが出てきます。
ときどき前述のような「変だな」ということが出てきます。
何が間違っているのでしょうか。そのあたりを今日は考えてみます。
学習の重要性については、ここでは省略します。
とにかく学習の必要性を理解していただき、やり方(その子なりの覚え方のパターンを活用する)を説明し、
家庭で実行していただくと、いろいろなことができるようになってきます。
とにかく学習の必要性を理解していただき、やり方(その子なりの覚え方のパターンを活用する)を説明し、
家庭で実行していただくと、いろいろなことができるようになってきます。
私たちでさえ「この子にこんなにも学びとる力があったのか」と、感嘆することがあるのです。
「学習は必ずしも、実生活に使えるかどうか、という点を問題にしなくてもよいです。
教養という観点に立って考えてください」と、コロロの考え方を伝えると、
お母さんは安心して「買い物ができる」ためにではない「計算学習」に、一生懸命取り組みます。
お母さんは安心して「買い物ができる」ためにではない「計算学習」に、一生懸命取り組みます。
そして、そのことは脳の活性化になり、大変よいことなのです。
ただし、つねに学習本来の目的を見失わないようにしてほしいのです。
学習本来の目的とは、その子が使う習慣のなかった、上位のレベルの脳を使わせることによって、
意識水準を上げ、人とのコミュニケーション能力を高めることにあります。
意識水準を上げ、人とのコミュニケーション能力を高めることにあります。
「計算だけできても仕方がないから計算は必要ない」のではなく、「計算ができたから」その頭の使い方を「日常生活で活用する」ことが必要なのです。
「計算」という比較的コミュニケーションの取りやすい教材を使って、
上位の脳の使い方、人のことばを聞き分ける能力(コミュニケーション能力)を養っていくわけです。
上位の脳の使い方、人のことばを聞き分ける能力(コミュニケーション能力)を養っていくわけです。
この目的を忘れると、「~だけはできるけど・・・・・・・」という状態に陥ってしまいます。
このように子どもの学習を見ていくと、はじめは正答か誤答か、という点だけが気になっていたものが次第に、
「どのくらい考えているか?」「意識の落ち込みはないか?」という点が気になってきます。
「どのくらい考えているか?」「意識の落ち込みはないか?」という点が気になってきます。
子どもの目や動作を見て、そのときの意識水準がだいたい読み取れるようになると、MT(お母さん先生)への出発点に立ったと言えるでしょう。
ここまでくると、机の上の勉強と日常生活での問題点が結びついて見えてくるはずです。
例えば、字を書くのが速すぎて乱雑なら、「このような手の動きをするうちは、常同行動は治まらないだろう」とか、
「この手の動きでは、将来きちんとした作業ができないだろう」というようなことが見えてくるわけです。
「この手の動きでは、将来きちんとした作業ができないだろう」というようなことが見えてくるわけです。
そうすると、たった一枚の紙の上ででも、将来を見据えたよい指導ができるようになります。
そして、お母さんの賢い導きに応じて、子どもががんばるという相互交渉がコミュニケーション力を高めることにつながります。
成長期の子どもにとって、意識レベルの高い時間が、一日のうちに多ければ多いほどよいのは言うまでもありません。
もちろん思春期、あるいは青年期に入った障害児にとっても、生き生きと生活する上での基本です。
ですから、勉強という限られた時間だけ意識レベルを高めるのではなく、それ以外の時間の過ごし方にも目を向けることが家庭学習の重要なポイントです。
とは言っても、四六時中子どもを監視するようなことはできませんし、また、そんなことは決してよいことではありません。
そこで、比較的簡単にでき効果もあり、経験的によいと思う方法を二つほど紹介しておきます。
*日常の姿勢を矯正すること
常同行動や問題行動は、姿勢のくずれから始まります。
身体の重心がおへその下あたりに定まって、背筋をのばした姿勢でいると、適度な意識レベルが保てます。
身体の重心がおへその下あたりに定まって、背筋をのばした姿勢でいると、適度な意識レベルが保てます。
正座でもよいですし、背もたれのないイスにきちんと座らせるようにするとよいでしょう。
家事が忙しく、学習や積極的なトレーニングなどできないときは、子どももついだらけてしまいがちですが、
ゴロンと寝転ばないようにさせるだけで、あまりひどい状態にはならないものです。
ゴロンと寝転ばないようにさせるだけで、あまりひどい状態にはならないものです。
*自習ができるようにすること
トレーニングが進んでくると、指示に対する反応がよくなり、いつ、どこででも勉強できるようになります。
が、あくまでよい指示を出してくれる大人が目の前にいる、という条件の中でのことです。
「いちいち言わないとできない」という訴えは、よく耳にするところです。
その都度ひんぱんにことばかけをされなくても、目の前の課題をやり終えることができるということは、
自力で一定の意識レベルを維持するということですから、大変重要なことです。
自力で一定の意識レベルを維持するということですから、大変重要なことです。
課題が難しすぎると、考えることを放棄してしまいますから、やさしめの課題を自習用教材として用意してあげましょう。

この記事をご紹介したのは…


この記事をご紹介したのは…

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
コミュニケーションがとりづらい、問題行動やこだわり・パニックが頻発して家庭療育がままならないなど、
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。
コロロメソッドとは
コロロでは「子どもの持っている力を最大限に伸ばし、社会の中で生きる力をつけていくこと」を目指して幼児から成人までの療育を行っています。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
コロロメソッドとは、40年に渡る療育の実践の中で得た知見から体系づけられた「ことばが増える・伝わる・問題行動が減る」療育プログラムです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
コロロ発達療育センター
コロロ学舎