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できた!わかった!目からウロコの教え方

「〇番目」と「〇個」~順列と量の概念~の記事をご紹介します。

数字には二つの概念があります。順列の概念量の概念です。

小学一年生の算数で初めに教える課題で、この二つの概念を最初に教えるというのが一般的です。

しかし、発達障害のあるお子さんにとってこの概念を理解するということは難しく、
小学校入学してすぐ算数につまずいてしまうという子も少なくありません。

コロロでは、発達障害児・者の特性を活かし、原則として計算は順列の概念だけを使い教えます(詳しくは別著、新発語プログラムをご覧ください)。

加減計算が出来る様になり、20個くらいのものが数えられるようになったところで、量の概念を教えるようにしています。

今回取り上げる「〇番目」と「〇個」の違い、という課題は、順列の概念と量の概念の区別を教えるもので、数の課題の一つの山場と言えましょう。

この課題では通常の教え方では分からないというお子さんが多くいます。

A君もそのひとりでした。A君の学習プログラムについてご紹介します。

【ステップ1】

順列と量、どちらなのかの判断だけに絞るため、上下左右の概念は省き、左側から数え始めるルールで、シールを貼る課題に取り組む。図1


多くの子は6~10間行うと、同じ「5」でも「ばんめ」と「こ」では違いがあるということに気づきますが、
A君は一間前と同じようにシールを貼ろうとしたり、先生が指さしたところに貼ろうとしたり、全く気づきが得られません。

《分析》
「ばんめ」「こ」どちらの場合も同じ数唱するところから始まるため、本人にとって手続き上の違いがなく、
分かりづらいのではないか。数唱ではなく、視覚的に判断するところからの導入が良いかもしれない。

【ステップ2】

視覚的アプローチの出題に変更。
すでに貼ってあるシールをみて「〇ばんめ」「〇こ」と回答させることにした。

教え方実況中継
①指導者が手本を見せる

・音声は使わず、5こまとめて指でくくるように円を描き「5こ」と言って、( )に答えを書く。
・左端から指でつついてシールの位置で「5ばんめ」と言って答えを書く。

②本人が行う
・指導者が行ったプリントをヒントとして横に置き、行う。

A君は、始めはヒントのプリントを見ていたが、5問行うと一人でできるようになった。
数唱しないこの方法にしたことにより、順列と量の違いに気づき、理解できたようです。
引き続き、次の課題へと進めました。

【ステップ3と、その教え方】

ステップ1で出題した問題を解かせます。

その際に隣にステップ2で行ったプリントをヒントとして置いておきます。

求められている意味が理解できたようで、一人でシールを貼っていくことが出来ました。

はじめはヒントのプリントを見ていましたが、数問するとそのプリントに目配せしなくなったので、そのタイミングでそっとひきあげました。


今回の課題は、手続きや手順を覚えるのではなく、出題の違いを理解できるかがポイントになります。

A君は始め、みんなが出来る方法では理解が出来ませんでした。

ここで重要なのは、
なぜできないのか何につまずいているのかを分析することです。

子どもが理解出来ないと、指導者は読み方をゆっくりにしたり、強調するような口調にしてみたり、言葉で説明し理解させようとしてしまいます。

音量や速度を変えてみても、子供に伝わらなければ意味がありません。

今回うまく理解させるに至ったのは、音声刺数は補助的に使うくらい極限に減らし、見てわかるように出題形式を変えたことです。

言葉での理解が難しい子どもたちです。

極力言葉に頼らず、視覚的に分かりやすい教材で指導することが、
子供の「わかった」瞬間を作り出すことに繋がりました。

子供が理解する時は一瞬なのです。


この記事をご紹介したのは…




コロロ発達療育センターはコロロメソッドを実践する療育機関です。

1983 年創立。自閉症、広汎性発達障がいなどの診断を受けた子どもや、
集団に適応できないなどの問題を抱える子どものための指導方法を研究・実践する療育機関で、
現在各地の教室で多くの子どもが療育を受けています。
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さまざまな問題に対し、独自の療育システム(コロロメソッド)による具体的な対応法・療育方法を提示し、家庭療育プログラムを組みます。
幼稚園や学校に通いながら、ほかの療法とも併せてプログラムを実践することができます。

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